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いち早く障がい者雇用に取り組んできた大手証券会社のSMBC日興証券株式会社では、法定雇用率の上昇に伴った労働市場の変化を受け、障がい者アスリートの雇用に着目。これまで採用したアスリートは実に10人に上る。アスリートの存在がグループ全体の一体感の醸成に一役買っていると語る人事部ダイバーシティ推進室の勝具子さんに話を聞いた。

Q 障がい者アスリート雇用を検討するきっかけを教えてください

当社では以前から障がい者雇用に取り組んでおり、健常者と同じ業務を担っていただける、主に内臓疾患の方を中心に雇用してきました。ところが、時代とともに法令も変わり、障がい者雇用が義務付けられる対象企業も広がりました。そうなると、今後、当社が雇用してきたような方たちの採用は難しくなるのは明らかです。そこで、新しいことに取り組む必要があると考えました。
一方で、社内の障がい者雇用にまつわる認知度の低さにも問題を抱えていました。本来、障がい者雇用は、人事だけではなく会社全体で取り組むべきものにもかかわらず、当社の場合、内臓疾患の方を採用していたため、同僚が障がい者手帳を持っていても気づいていない、そもそも法定雇用についても知らない社員がほとんどという状態だったのです。そこでまずは障がい者雇用について知ってもらおうと、「障がい者雇用の見える化計画」を企画し、特例子会社となる「日興みらん」の設立と同時に障がい者アスリートの雇用を企画・立案しました。
スポーツには、スポーツをしている人だけではなく、それを観ている人も感動や一体感を覚えるという不思議な力がありますよね。この企画を起爆剤に、当社のチームワークやロイヤリティを高め、それが本業に還元されることを期待していました。
人事担当役員にこの企画をプレゼンする日の午前中に、経営会議でブラインドサッカーへの協賛が決定したことが幸いしたのか、すんなりと承認をいただけました。

Q つなひろワールドを利用するきっかけを教えてください。

障がい者アスリート雇用についてリサーチをしていく中でつなひろワールドさんにたどり着き、セミナーに参加してみたのがきっかけです。ほかにも何社かコンタクトを取ったのですが、つなひろワールドさんが一番、アスリートの皆さんとのネットワークをお持ちだと感じました。

Q  短期間に10人と大量にアスリートを採用されていますね。

会社の規模から10人程度が妥当と考えスタートしました。ところが、初めての経験ということもあり、他社と競合したり、アスリートとうまく折り合いがつかなかったりと、思うように採用は進みませんでした。面接していく中でわかったのですが、多くのアスリートは、職場選びでは、練習環境の向上と大会出場機会の増加を最重視します。そこで私たちもアスリートに寄り添って処遇面などを見直したところ、採用が進むようになり、リオパラリンピックに出場した鈴木徹(陸上・走り高跳び)や上与那原寛和(車椅子陸上)、千脇貢(車椅子バスケットボール)、乗松聖矢(ウィルチェアーラグビー)といった優秀な人材を採用できました。

Q 採用に当たって重視したことは何ですか?

最重要ポイントを2つ設定しました。ひとつは、世界レベルでメダルが取れる可能性がある方、もうひとつは、競技生活引退後も当社で業務をしっかりと担っていただける方であることです。私たちは、仕事をするにあたって大切なのは、資格や知識の有無ではなく、人間性だと考えています。まじめな人柄で、真摯に競技に向き合っている方なら、引退後も競技同様、仕事にもきちんと向き合い、取り組んでくれるのではないかと期待し、その点を重視したのです。
当社が望んだのはまさに最高レベルの障がい者アスリートだったわけですが、そうした方たちとつながりがあるのは、つなひろワールドさんだけでしたね。竹内社長ご自身がもともとスポーツ選手で、早くからアスリートのサポートを手掛けてきているだけに、知識も経験も豊富で、本当にいろいろなことを教えていただきました。

Q 採用者は全国に散らばっていますね。

宮城・千葉・富山・山梨・長野・滋賀・長崎・熊本・大分・沖縄と、それぞれに活動拠点がありましたから、面接の際はそこに出向きました。訪れたからこそわかったのですが、皆さん、すでに練習環境が整っているんですね。そのため、そのまま地元で活動できるように配慮しました。
面接の際は、競技のルールや戦略なども聞かせてもらい、勉強になりました。実際にウィルチェアーラグビーや車椅子バスケット、車椅子バドミントンなど、面接対象者の競技をいろいろ体験したのですが、その難しさに舌を巻きました。選手のすごさを実感できましたし、同時にそれぞれの競技の面白さも体感できました。

Q 労務管理はどのようにされていますか?

ダイバーシティ推進室にフルタイムで勤務している須藤正和(セーリング)以外は、全員競技に専念していて、国内外の大会や合宿に参加したりと忙しいので、基本的には自由に活動してもらっています。
ただし、月に一度の月例会への参加は必須にしています。月例会では、アクセスしやすい東京駅近くのオフィスに集まり、一緒にランチを食べた後に、近況報告をしてもらったり、メディア対応や証券など業務にまつわる研修を行ったりしています。
通常ですと、競技が異なるとお互いに接点を持ちにくいようなのですが、この月例会をきっかけに横のつながりができ始めていて、情報交換や、刺激を受ける場にもなっているようです。例えば、冬季競技の三澤拓(アルペンスキー)は、同僚たちのリオでの活躍ぶりに刺激を受けて奮起し、2018年のピョンチャンパラリンピックで頑張ると今から張り切っています。オフシーズンに取り組んでいる体幹トレーニングの方法を他の選手に紹介したりもしていましたね。競技は違ってもひとつの実業団チームのような雰囲気が出ていて嬉しいですね。
今後、若手アスリートには社会人としての研修も行っていきたいですし、全員に語学研修を受けてもらうことも考えています。みな世界を目指すアスリートですし、海外チームでのプレーを視野に入れている選手もいますので、それを後押しする意味でも、ぜひ実現させたいですね。
 
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