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世界で戦えるアスリートと二人三脚で歩む
株式会社日阪製作所

染色機やプレート式熱交換器、レトルト殺菌機、ボールバルブなど数々の「世界初」「日本初」の産業機械を生み出し、製造販売する株式会社日阪製作所。社内の一体感を醸成に役立てたいと障害者アスリート雇用を決断。アスリートの活躍を心から願い、応援する人間部人間課課長の蓮井恵一さんに話を聞いた。

Q 障害者アスリートを雇用するきっかけを教えてください。

これまでも障害者雇用に取り組んできましたが、定着率が思わしくなく、法定雇用率の達成もなかなか大変でした。そんなとき、障害者アスリート雇用というものがあると知り、私自身スポーツ好きということもあって、2014年ごろ、つなひろワールドさんにコンタクトを取りました。いろいろお話を聞き、積極的に検討したいと思いを強くしました。とはいえ、ただ障害者アスリートを雇用したいと提案しただけでは、社内の理解が得られるとは限りません。そこで、CSRや広報を担当する部署と連携し、経営陣に承諾してもらうための方策を1年間かけて練りました。そして、2015年4月、障がい者アスリート雇用は社会貢献になること、一緒に働く仲間としてアスリートを応援することで社員の一体感を醸成できること、そして雇用した選手が活躍してくれれば広報的なメリットも生まれること。そうした点を中心に経営陣に提案したところ、すぐにOKが出たんです。そこからは早かったですね。2ヵ月後の6月に採用活動をスタートし、翌月にはつなひろワールドさんにご紹介いただいた中村智太郎(水泳)と櫻井杏理(車いすフェンシング)を面接し採用を決定。2人には10月に入社してもらいました。まさに、とんとん拍子でした。

Q 当初から2人採用する予定だったのですか?

いえ、最初は様子を見る意味でも1人採用し、将来的に2人に増やしたいと考えていたのですが、つなひろワールドさんにコンタクトを取ったところ、中村と櫻井の2人を薦められました。中村は水泳選手として4度もパラリンピックに出場しメダルも獲得している一流アスリートで、リストに記された名前と実績を見た時は、「引く手あまただろうに、本当にこんな一流選手が職場を探しているの?」と不思議でしたね。ところが面接したところ、「以前勤めていた会社は競技生活への支援がなくて、大会には有給休暇をとって参加していました」と言うではないですか。障害者アスリートに対する支援があまりにも進んでいない現状に驚いたことを覚えています。一方の櫻井については、車いすフェンシングというマイナースポーツの選手で、しかも、競技を始めてまだ1年ということだったので、支援を求めているというのは素直に理解できました。
中村を採用する方が広報の効果が大きく、魅力を感じました。しかし一方で、今は無名でも将来活躍が期待できて、しかも支援を得るのが難しいであろう櫻井を支援するほうが、私たちのスタンスに合うとも思いました。どちらにもそれぞれ魅力があり、1人に絞るのは本当に難しかったので、思い切って2人とも役員面接をしてもらうことにしました。そして、ダメもとで「両名とも採ってください」と言ってみたんです。すると、人事部門である私たちの部署で面倒を見られるのならOKとなり、めでたく採用が決まったというわけです。リオパラリンピックには中村が出場しましたし、閉幕後は、東京を目指す有望な若手選手として櫻井の露出が増えている状況を考えると、結果として、2人とも採用して大正解でした。

Q 雇用当初からマネジメントサービスも利用されていますね。

ただ採用するだけではなく、採用後は当社の社員として末永く勤務してほしいので、そのためにも適切な体制を整えたいと思っていました。ところが、何しろ私たちも初めての試みで、制度の整え方や支援方法を知りませんでしたし、思いがけないことが起こったらどうしようという不安もあったので、マネジメントもサポートしていただきたいと、こちらからお願いしました。2人とも活躍しているので、よく取材や講演会の依頼が入るのですが、つなひろワールドさんがその窓口として対応してくださっていて助かっています。何よりパラスポーツに詳しい方がいてくださるのが安心ですね。

Q 障害者を雇用するにあたって、設備を整えたりしましたか?

車いす利用者の採用は櫻井が初めてだったので、正直、不安でした。と申しますのも、大阪にあるこの本社オフィスは新しいのですが、デスクや棚を詰め込んでいるので、通路が狭いんです。また、櫻井が6月から勤務している東大阪の鴻池事業所には工場がいくつかあるのですが、そちらもエレベーターがあったりなかったりで。どうしようかなと思いましたが、一緒にオフィスを歩いてみたところ、櫻井が使っている車いすがコンパクトなタイプだったおかげで通路も問題なく通れましたし、デスク回りでも難なく動けて、レイアウトを変更せずに済みました。また、工場も段差にスロープを設置する程度で対応できました。スロープは、今後、車いすのお客様が来社される可能性もあることを考えれば必要な設備ですから、それを設置するいいきっかけになったと思っています。何といっても、今後も車いす利用者を採用できそうという手ごたえを感じられたのは、大きな収穫ですね。

Q 中村選手の印象を教えてください。

レース前に集中する姿が印象的なのですが、リオで実際に観戦して、集中力の高め方が本当にすばらしいと思いました。また、両腕がないことに対する劣等感もほとんどないことにも驚かされます。足を器用に使い、電話やデスクワークなども難なくこなしていますよ。

Q 中村選手の今後についてお聞かせください。

少し先の話ですが、中村は引退後に指導者も目指したいようなので、会社としてどうサポートするか考えていかなければなりません。現在は私と同じ人間部(一般企業の人事部)に在籍していてサポート的な業務を中心に担当してもらっていますが、引退後は専門領域を持ってほしいと思っていますし、それをどこに定めるかも検討しなければなりません。中村はフレンドリーなタイプで、初対面の人とも話せるというのが一番の特徴ですから、採用や面接など、人と直接かかわる仕事がいいのではと思っています。

Q 櫻井選手の印象はいかがですか?

櫻井とは職場が違うこともあり、採用後はゆっくりと話をする機会がなかったので、一緒に視察に行ったリオは、実際に櫻井のアスリートとしての姿勢や考え方にじかに接する貴重な機会となりました。もともと毎朝4時半に起きて、1時間トレーニングしてから出社しているとは聞いていたのですが、現地でも応援や視察に行く前後の時間にジムでトレーニングしていました。普通の人にとっては「継続すること」って難しくて、今日はいいかな、なんて自分に甘くなることもあると思うんですが、彼女にはそれが一切ありません。「日の丸を背負っているから、努力するのが当たり前」なんですね。30時間のフライトを経て帰国した際、なんと関西空港から練習場に直行したのには、さすがに驚きましたけどね。食事も野菜中心で、本当にストイックです。努力と継続が必須の英語力もすばらしい。「努力する才能がある人」というのは彼女のことだなと思います。これほど努力し続けることができるのだから、きっと世界を代表する選手になるだろうと期待しています。人として心から尊敬しますし、採用して本当によかったです。

Q 今後、櫻井選手をどんなポジションに起用していきたいですか?

櫻井はきっちりと仕事をこなすタイプで、チェックをしてもらうとほぼ間違いないと、一緒に働いている社員たちが口をそろえています。それを考えると、給与や社会保険などに関わる仕事が向いているのかなと思いますね。一方で、20歳過ぎてから障害を負って、つらい時期を乗り越えてきたという精神力の強さも大きな魅力なので、メンタルヘルス的なサポートを担う仕事もできる可能性もあります。とはいえ、東京パラリンピックでの活躍が期待されていますし、しばらくは選手として活動するでしょうから、仕事についてきっちりと決めるのは、当分先のことになるでしょうね。

Q リオパラリンピックを現地で視察していかがでしたか?

素人ながら、障害者スポーツのレベルが上がっているのを実感しました。特に水泳は数字ではっきり結果が見えるので、わかりやすかったですね。ロンドンパラリンピックメダリストの中村でも決勝進出が精一杯で、メダルを取るためには、自己ベストタイムを2秒縮めても届かないぐらい、トップとは大きな差がありました。この4年間で、障害者スポーツ界全体が急激にレベルアップしているんでしょうね。海外では、障害者アスリートたちが仕事をせずに競技に打ち込める環境を国が整えているケースが多いらしいですね。企業が支援してなんとか競技を続けられる日本の選手たちがそういう海外勢に勝つのは並大抵なことではないと櫻井も言っていましたが、その通りだと思います。ハイレベルな世界のパフォーマンスを目の当たりにして、当社もアスリートの活躍のために、もっと支援を充実させなければと考えさせられました。
そのため、中村と櫻井には、今後の仕事と競技生活のあり方についてどうあるべきか、考えをまとめるよう指示しています。とはいえ、私たちとしては、一緒に働く仲間を応援したいという思いがベースにあるので、プロ契約は考えていません。ただ、勤務時間を柔軟に変えるとか、試合の前後は練習に専念できるようにするということは十分考慮に値しますし、遠征費や障害者スポーツに欠かせない用具代といった費用面についても相談に応じられればと思っています。
彼らとかかわるようになって、以前よりパラリンピックに興味を持つようになったわけですが、もっといろいろな方に、パラリンピックはもちろんのこと、そこに至るまでの様々な試合を観ていただきたいですし、競技や選手たちを知っていただきたいですね。そうすれば観戦の楽しみもぐっと深まりますし、障害者スポーツを応援する人が増えることで障害者アスリートたちへの支援ももっと充実していくに違いありません。当社も2人へのサポートを通じて、障害者スポーツの魅力をどんどん発信していきたいですね。

(2016.12)

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